洋上の亀洋丸で、おいしさ一本釣り。

遠洋一本釣り船「亀洋丸」の船上で、釣り上げた一本一本を瞬時に冷凍。
その鮮やかなおいしさ、色目は、一本釣りの誇りです。

味・素材

三陸沖で、南方で、一本釣りした鮮度抜群のかつおやまぐろを船上で冷凍し、おいしさをそのまま市場へ届けます。

味・素材

設備など

ブライン凍結一級品(B-1方式凍結)によって魚を急遽冷凍する亀洋丸は、カネシメイチの洋上の工場です。

設備など

仕事人

洋上の亀洋丸で、
おいしさ一本釣り。

株式会社カネシメイチ 相談役 小山修司

海で仕入れ、海で仕上げる。
亀洋丸はうちの“工場”

株式会社カネシメイチの代表取締役社長である小山修司さんに会うために事務所を訪ねた。気仙沼駅方面から鹿折地区へ向かう東浜街道沿いにある小さな建物。着いて車を降りたとき、おや?あれ?と、一瞬の戸惑いを覚えたが、そうだそうだとすぐに思い直す。
気仙沼鹿折加工協同組合に加盟する各社さんへ伺うと、そこには事務所に併設された、あるいは事務所と棟を同じにする生産工場があって、職人さんが腕によりをかけて商品づくりに励んでいる。しかしカネシメイチの事務所の横には、その工場が見当たらない。それもそのはずで、カネシメイチの〝生産工場〞は洋上の船、「亀洋丸」なのだ。亀洋丸とは、カネシメイチが所有する大型の一本釣り船。正確には、第十八亀洋丸と第二十八亀洋丸の2隻を持ち、ともに1年の大半を、洋上で稼働している。
「日本の港へ立ち戻るのは、エサとなる生きたイワシがなくなった時だけです」と小山さんが教えてくれた。
2〜5月は北緯10度のミクロネシア海域へ。6〜10月は三陸沖で。11〜12月は再び南方洋へ出向く。各期間中、およそ30日に一度だけ港へ戻り、すぐにまた海を目指す。

どこにも負けない鮮度とうまさ。
それが一本釣りの誇り

2隻の亀洋丸には、それぞれ25名ほどの釣り手が乗り込み、返しのついていない針で1本ずつ、トロカツオやトロビンチョウマグロを釣り上げる。釣り手の中には、1本を平均数秒で釣り上げる猛者もいるのだという。2隻の亀洋丸の漁獲量は、年間で約3600トンだそうだが、1本1本を積み重ねるといったいどれほどの大きな山になるのか、想像すらつかないスケールだ。
釣り上げた魚は、船上で血抜きをし、生きたまま冷凍。血抜きの工程が大切で、こうすることで臭みがなくなり、色持ちも良くなるのだそうだ。冷凍は、まず、マイナス20℃の塩水へ投入し一気に冷やす。初期凍結の後、マイナス55℃の冷凍庫で急速冷凍。内側と外側から瞬時に凍結させることで、魚にストレスがかからず、おいしさが保たれるという仕組みだ。
冷凍されて〝商品〞となって運ばれる魚たちは、気仙沼魚市場や焼津魚市場で、入札にかけられる。
入札を経て店頭で売られるカネシメイチのかつおやまぐろには、「一本釣り亀洋丸」というシールが貼られていた。これが鮮度の証、品質の証、おいしさの証だ。
「近年、かつおのおいしさが再認識され、刺身としての価値が上がってます」と胸を張る小山さん。いかにおいしいまま、港へ届けるかに強いこだわりを持っている。

いつか亀洋丸と一緒に
海に出てみたねえ

小山さんは、カネシメイチ6代目にあたる。気仙沼生まれの気仙沼育ち。大学時代の4年間だけ東京で暮らしたが、卒業と同時に気仙沼へ戻り、カネシメイチに入社した。「魚がおいしくて、人情にあふれていて、こんなにいいところはないですよ」と、気仙沼についての思いを語ってくれた。
困難があっても「なんとかなる」を信条に使命感を持ち続け、乗り越えてきた小山さん。これからの夢について聞くと、「地元の産業を大切にして、暮らしていけるといいね」。さらに少し考えて。「亀洋丸に乗って海に出たいねえ」と。これには、息子であり常務取締役の小山克郎さんも思わず苦笑い。「ネジ回したり、空調機直したりする係でもいいんだよ」。仕事に誇りを持ち、仕事に夢をみる。なんて素敵なんだろう。この日いちばんの、大きな笑顔だった。